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11月のメッセージ

 今日もニュースはアメリカの大統領選挙で勝利したトランプ氏についての話でもちきりです。
 アメリカ人はいつも安定より変革を選びますね。
 トランプ氏が大統領になると日本にも大きな影響が出ると言います。暫く目が離せません。

 しかし今日は、少し前にマスコミに取り上げられたオリンピックの開催地のお話をしましょう。
 2020年のオリンピックの会場について小池都知事が見直しを考えていて、その有力候補地の一つに宮城県の長沼ボート場がありました。選ぶポイントは誰もが納得する「復興五輪」です。
ところがIOCのバッハ会長はその選定に待ったをかけたのです。
 その理由は、プレゼンテーションで見せた計画で他の都市と競ってオリンピックの開催都市に選ばれたのだから、その後の大きな変更は約束に違反するというものです。尤もですね。
 ですが私にはもう一つ気になる経験があります。
 それは東日本大震災の年のことです。
 私はオペラ通の卒業生から「百年に一度の美声の歌手が来ます。聞き逃すと一生の損です」と教えられ、「びわ湖ホール」に行くことにしました。ところがその後震災が起きると、日本で予定されたクラシックからロックまでの様々な分野のコンサートに出演する欧米の歌手が次々キャンセルし、東京でのコンサートが沢山中止になりました。
 日本人には「福島50」の決死の働きがあり、アメリカからはレスキュー隊が派遣され、「ともだち」作戦で助けてくれたのはこの時です。
 その一方でドイツ大使館は職員の安全を最優先し全員本国に呼び返しました。日本人も大勢の人がボランティアで東北に行く一方、逃げて来た被災者を謂われなく攻撃する人も出てきました。こんな時、人間性が現れますよね。
 残念なことに影響はない「びわ湖ホール」で公演予定だったイタリア人のオペラ歌手もドタキャンをし、急遽代役が立てられました。代役は百年に1度の美声ではありませんでしたが立派にやり遂げました。観客は感動し、終わると会場中がスタンディングオベーションをしました。

 今回、IOCもプレゼンテーションで「復興五輪」という大義名分を認めて日本を開催国に選びました。しかし、もしかすると外国人にとって地震や津波の恐れがある日本は、強盗の出る都市同様に怖く思えるのかもしれません。
 あれから5年もたっているので、バッハ会長が欧米人の反応を気にしたのかもしれないというのは杞憂かもしれません。
 しかしこれからもっと日本と東北の安全を広く世界にアピールすればオリンピックにとってプラスになるのは間違いがありません。
 余談ですが、震災の直後、アーティストの中でレディーガガだけは予定通り日本に来てくれて、その上被災者を励ましてくれたのです。
 以来、私は嫌いだったレディーガガがいっぺんに好きになりましたね。
 
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