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2021/08/06 想いだけでなく,行動を変えたい!

今回は,去る7/30(金),1時間目〜3時間目を使ったイベントを紹介します。
 「ローテーションプレゼン大会」
ありとあらゆるジャンル,主題の中から,自分が最も熱くなれる事柄を選んで,講演をしてくれました。
ルールは1つ。トピックが,「自分が誰よりも熱くなれるもの」であること。
原則一人15分の持ち時間の中で,プロジェクターに自作のスライドを投影させたり,楽器を生演奏したり,あるいは体ひとつで聴衆を引き込んだりと,講演者の魅力がふんだんに詰まったイベントとなりました。
ロイロノートを使って,全員が講演内容についてのフィードバックを行います。講演者一人につき,100人前後の聴衆が,感想を送信する形でフィードバックします。
タイトルは以下の通りです。
・ショートムービー『Switch』
・「瀬戸内の魅力」
・「英語落語」
・「麻雀について」
・「ハリーポッター」
・「ヴァイオリン演奏」
・「生きるとは」
・「意外と知らない!?勘違いと間違いの違いとは」
・「私について」
・「好きなことはなんですか」
・「かっこいい生き方」
・「僕の話」
・「写真のススメ」
8グループ9名の高1生徒と,5名の高1の先生がプレゼンをしました。
今回は、企画・運営を担当された中平先生と、実際に講演をされた野口先生にお話を伺いました。お二人とも高1担任です。
■このイベントのねらいについて教えてください。
(中平先生(以下「なかひ」)):まず考えたことは「クラス間の交流」ですね。先生どうしの交流が盛んに行われると、仕事がしやすいことに気づいて、(だったら生徒も同じでは?)と思ったのがきっかけです。興味の根本にあるのは、「知る」ということだと思いますから。普段交流することのない(少ない)、ほぼ全員が初対面という状況の中でのプレゼンですが、みんな堂々と話してくれていました。

■どうして先生たちにも講演者として参加してもらったんですか?
(なかひ): 一つは、「生徒の世界観を広げる」という目的です。高1生というのは、もちろん想像力もあって、深く物事を考えて要る人もたくさんいるのですが、ほんの数ヶ月前までは中学生だったわけです。視野がまだ狭い面もあります。今回は大人の視点も入れることで、社会人としての視点も垣間見てもらえたらいいな、と思いました。
もう一つは、「この先生って、こういう人なんだ」という嬉しい気づきを創出したかったんです。普段教わっていない先生のことで気づきがあれば、純粋に嬉しいのと、やはり親しみが湧いてきますよね。それって、生きる上でとても大切なことだと思うんです。
最後は、今回いろんな話を聞いた側の生徒が次にチャレンジする「ハードルが下がる」ということです。お笑いコンビ、キングコングの西野さんが本の中で書いています。「一歩踏み出せないのは、勇気が足りないからではない、情報が足りないからだ」と。今回の大手前のイベントは、講演者の成長もあるでしょうが、それと同様に、同級生や先生からの刺激が聴衆の背中を押す側面が大きいですね。生徒たちの夏休みの活動が変わってくるんです。

(野口先生(以下「のぐ」)):あー、わかります、それ。今回はどの生徒にとってもすごく意味のあるイベントだったと思います。そもそもプレゼンの目的って、ただ発表することじゃなくて、聞く人の行動を変えることですもんね。聞く方は、想いだけでなく、行動までが変わり始めるし、講演者は、ロイロノートというアプリを利用して、タブレット内で100人以上の聴衆から感想、フィードバックをもらいます。聞きっぱなしじゃないわけです。生の感想が、話した直後に返ってくる、この「ライブ感」はものすごく貴重です。僕も自分がもらったフィードバックを読みましたが、勇気がもらえた感じもあり、自信というか、愛というか、いろんなものが込められた感じのフィードバックでした。
■ありがとうございます。あ、そうそう、野口先生もプレゼンされたんでしたね。
(のぐ): あ、はい。しました。

■ぜひここで、先生のプレゼンのねらいや感想を語ってください!
(のぐ): え?言うんですか?じゃあ。普段授業を担当していない生徒に、僕は自分の好きなものを深掘りすることの魅力を語りました。とにかく聞いている生徒たちを「引かせたかった」んです。音楽について語ったんですが、とにかくイキイキとパワフルに、熱さだけ意識してどんどん語りましたね。こちらがイキイキと語ることで、聞き手が知らないことも、面白くなってくるんです。別に音楽を聞こう、って思ってくれなくてもいいんです。大事なことは、「こだわりを持とうよ!」っていうことを、僕の場合は音楽を通して伝えたかったんです。
■その話だけでも熱さが伝わってきますね。

(のぐ): 「こんな風に深掘りしてみようよ」っていうメッセージを送ると、生徒が近い将来、何かやりたいなー、でもやり方がわからないなー、と思った時に、(あ、先生があの時あんなこと言ってたな)と思い出せますよね。ここで僕の話や話し方がその子の背中を押すことになれば嬉しいです。生徒たちにもらったフィードバックには、「熱」と「愛」の文字がたくさん見られましたから、「生徒に伝える」ということはひとまず成功したかな、と。あと、「生徒の行動を変える」ということについては、これから見ていきたいです。
■具体的に何を生徒に語られたんですか?
(のぐ): 一つは、深掘りのしかたです。Hip Hopをする人がよく使う言葉で、「ディグる」というものがあります。digは英語で「掘る」という意味ですね。まるでレコード店でレコードを片っ端から一つ一つ手にとって見ていくように、アーティストでも、ジャンルでも、あるバンドが影響を受けた人(ルーツ)でも、どんな切り口でもいいんですが、切り口を決めて、とことん漁っていこう!好きなものなら突き詰めよう!というメッセージです。

もう一つは、「アルバムを聴こう」です。今は、サブスクリプション、TikTokなどを利用する人が爆発的に増えていますね。だから、アーティストという「人間」よりは、曲という「個々の作品」が売れている時代です。そこであえて、アルバムを手に入れることで、曲だけでなく、「アーティストを聴こうよ」ということを話しました。アルバム全体に親しむことで、そのアーティストの想いやテイストがよく見えてきます。それが財産なんです。「アルバムを聴こうよ、みんな!」というメッセージです。


■私も各教室を回ってましたが、一番熱いスピーカーでしたよ。
(のぐ): そうですか(笑)?いや、音楽でなくてもいいんです。ゲームでも本でもなんでも。たとえばゲームなら、ジャンルで深掘りしてもいいし、シリーズでもいい。ゲーム会社でもクリエイターでも、どんな切り口でもいいんです。僕の言いたいことは、好きなものがあるんなら、その「好き」のレベル上げない?っていうことなんです。

■先生方、講演者からはどんな反響がありましたか?
(なかひ): イベントのあった日、昼から講演者の「ふりかえり会」を座談会風にやりました。全員が「楽しかった」って言ってました。教室を渡り歩きながら、何回か同じテーマでプレゼンをしますよね、だから、朝一番のプレゼンと、昼近くのプレゼンとでは、格段のレベルの違いがあるんです。それを半日足らずで経験できた生徒たちには充実感しかなかったですね。人に貢献できたという自己有用感と、好きなことを話して、多くの同級生に受け入れられたことで、自分の居場所があることが再認識できたのだと思います。
聞いてる側の生徒も、きっと初めは、興味のないテーマももちろんあったと思います。でもみんなが前をしっかり向いて聴いていた印象があります。

(のぐ): そうそう、そうです。僕も実際に話していて、「(生徒の)欲している感」を感じました。頭が上がって、体勢だけでなく、心もこっちを向いてるような。
(なかひ): ですよね。普段の勉強、講義と違って、話し手と聞き手の温度差がないんですね。熱いものが熱いまま聞き手に届いた感じ、ですかね。ダイレクトな語りかけや、ダイレクトな演奏、ダイレクトな短編映画、そして面白い内容。ライブ感ある活動は大事ですね。

■最初のねらい「生徒間の交流」は達成されましたか?
(なかひ): どの時点で達成というかは難しいですが、確実に言えることは、今後、生徒の間の「輪」が確実に広がるということです。人間関係では、「相手を知らない」ことが多くのことを阻んでいます。4年目の付き合いになるクラスのメンバーのことですら、「そこまで知らない」場合もあります。極論を言えば、プレゼンの形を取るまでしなくても、メンバーの「好きなもの、こと」を知るだけで、交流や理解のタネがどんどん芽を出すというか、繋がりや一体感を得やすくなると思うんです。

(のぐ): そうですね。そうなるといいですね。パワフルな学校になりますね。次もやりたいって言っている生徒もいるし、次は、自分もやりたい、って思っている生徒も今回で、たくさん生まれたと思います。話す方も、聞く方も、頻繁に入れ替わるようになると最高ですね。自分から相手の情報を取りに行って、「ある特定の事実」や個人の「ある側面だけ」を見るのではなくて、その人の「にんげん」を見ていくように多くの人がなるといいな、って思います。
■先生方、体験に基づいたリアルなご意見、ありがとうございました。