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2021/08/20 「タブレットとPC」 ーICTを生かしてー

 ICTとは、Information and Communication Technology の略で、「情報通信技術を活用したコミュニケーション」のことです。コンピュータを単独で使うことのみならず、ネットワークを活用して、知識を共有することも含めた用語です。
 大手前高松では、communicationということばが示すように、生徒と教員、教員と教員の間の情報交換の手段として、タブレットやパソコンを活用しています。
 今回は、数学の授業を担当しながら、「教務」というお仕事をされている、牧山先生にお話をうかがいました。

■ ICT導入によって生まれた強みは何でしょうか。
ーまず、仕事の速さです。アイデアを思いつく早さというよりは、発信するまでが早いですね。昔であれば、アイデアを印刷して紙の状態にして、各職員に配り歩く必要がありました。渡し忘れや紛失、散逸というリスクが常にありました。現在は、一気に配信することができますし、何よりも、各職員からのレスポンス(返信)が瞬時に来るのが強みです。発信と共有のスピード頻度が上がりました。
ーひとつひとつのプロジェクトは、早いものなら1週間、長くても1ヶ月で実行までたどり着きます。かつては、数ヶ月かかることもありました。というのも、①周知する→ ②個人が考える→③担当者の予定を見て会議を設定する→④集まって検討する→⑤決定・実行する、といったように、メンバーの「予定を合わせる」のに四苦八苦していたからです。今では非同期で意見を集約、発信できるので、時間が大幅に短縮できます。

■ スピード以外の進化はありますか?
ーはい。スピードを上げるだけではもったいないと思います。さらなるメリットをあげてみます。
1. 写真、図柄など、ビジュアルに訴えられる資料が作成でき、理解しやすくなる。
2. データでのやりとりのため、紛失しなくなる。ペーパーレスで、資源も節約できる。
3. 後日、あるいは翌年以降も簡単に検索できる
ー特に3の、「データが残っている」というのはありがたいです。企業の仕事と同じように、学校の仕事にも、毎年行う仕事がたくさんあります。行事に会議に研修にプレゼン…。これらをすべて含めると、その数は膨大です。前回作った資料などを、毎年ブラッシュアップしていくことが簡単にできますから、残りの時間を内容の充実に充てることができます。

■ 生徒や保護者はICTをどのように活用するのですか?
ー普段の授業でプレゼンをしたり、調べ物をするのはもちろん、最近ではノートを取ったり、先生に質問をしたり、提出箱に解答を出したり、先生が作成した授業動画を視聴して理解を深めたり、さまざまです。さらにこのコロナ禍では、ミーティングや面談、解答の添削や解説をオンラインで行ったり、フル活用してますね。
ー管理面では、保護者からの欠席連絡や、毎朝の生徒の健康観察、勉強時間の記録などが挙げられます。いずれもヌケ・モレが格段に減りましたし、記録に残るという点で、メリットが多くなりました。

■「残る」「比べる」「探す」が容易になったわけですね。
ーそうです。ひな型(=土台、定型書式)が手元に残っているので、過去ログとして使えます。ですから、年1回のイベントについても「何月何日に周知すればいいな」などがすぐにわかり、仕事の効率が上がりました。貴重な記録です。検索も楽ですしね。

■ 生徒の話を掘り下げてみたいのですが、数学の先生としての目線からは、生徒たちにはどのような変化がありますか?
ーロイロノートというアプリによって、クラスメイトや自分が採点したテストであれば、タブレット上で提出するので、生徒は提出をすると同時に自分の「手元にも解答が残っている」という状況が得られます。先生から答案が返ってくるのを待たずに、すぐに復習することができます。
ーもう一つの例は、質問のチャンスがムダにならなくなったことです。
生徒とのやりとりの中で、こういうことが多かったんです。
 (授業の後で)「また質問に行きます。」
・・・この後、質問に来ないんですよ。熱が冷めてしまう。この機会損失がもったいないので、私はこう言います。
「今ここで、質問箇所のノートを写真に撮って送って!」「明日には7割忘れてるんだから!」
こうすることで確実に疑問が解決するよう努めています。

■ なるほど、生徒の「知りたい」を絶対に逃さない工夫ですね。
ーそうですね。あと大事にしているのは、生徒からもらう「評価」です。
毎回授業のラスト7〜10分でふり返りの時間をとって、key wordテスト、計算テストをしたり、「今日の疑問点」「今日の感想」をタブレット上で提出してもらったりしています。
毎回の授業がわかったのか、わからなかったのか、ほぼリアルタイムに把握できます。
1番ありがたいのは、教員の「自己満足を防いでくれる」ことです。良い反応も悪い反応も、迅速に対応することで、その生徒たちのレベルに合った授業を緊張感を持って展開できます。
コース制(習熟度別のクラス編成)をとっている大手前高松においては有効な手段だと思います。
ー授業はスライドよりは黒板を使って進めるくらいがちょうどいいかと思います。
ICTを使って見せるスライドは「きれいな紙芝居」のようなものですね。きれいにまとまっていますが、それを見せるだけで生徒が理解できるわけではありません。全部わかっている大人が、知識ゼロからスタートする生徒に授業をするわけですから、しっかりとペースを考えて、生徒も手を動かしながら頭を働かせて吸収していくように工夫する、そこを怠ると失敗しやすくなります。

■ ICTを過信しすぎるとデメリットも生まれうるわけですね。ただ使えば良い、というだけでなく、これまで以上に配慮されているわけですね。
今日はお忙しい中、貴重な知見をありがとうございました。