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2022/12/22演劇部Xmas講演

去る12月20日(火)・21日(水)の2日間、スタジオレトロにおいて演劇部のクリスマス公演が行われました。

 

定評のある練りこまれた脚本、演出で、熱狂的なファンもたくさんの演劇部講演!

今年の作品は顧問のオリジナル脚本「Happy Birthday」。2日目の様子を是非ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=95l8ibtS0aw

なお、現在ホームページで公開中のホームカミングデー公演「NAME」「NAME II」は、年内をもって試聴を終了します。

 

〈演劇部顧問:木村恵美先生による演出後記〉
 劇の要所でぴったりした曲を流したいので、一年中YouTubeでいろんな音楽を聴きあさっている。劇中だけでなく、客入れやカーテンコールで使う曲も厳選する。劇のテーマに遠からず近すぎず、イメージを壊さずかつ印象的な曲。もちろん場合によっては著作権料が発生する案件だが、学校教育の場で、当然無料で上演する環境だから許される贅沢である。感謝しかない。
 今回の劇「Happy Birthday」は、その人懐っこい響きとは裏腹に骨太な寓話だ。私にとって渾身の脚本であるだけでなく、観ていただけばわかるように適した俳優がそろった時にしか上演できない。今回はキャストだけでなく、各スタッフにも最高の人材が配されることになった。もちろん技術的には稚拙な部分もある。それでも一人ひとりの個性がパズルのように組み合い、ひとつの劇として輝きを放っていることを認めてもらえると思う。地方の中高一貫校の小さな演劇部に起こった、冬の奇跡だ。
 多様性の時代と言われ、確かに言葉は社会に定着してきたように見える。けれど日々の暮らしの中で、全ての多様な存在があるがままに認められているわけではない。それでも、いや、だからこそ多様性は多様なままに認められねばならないと言い続けよう。なぜなら私たちは誰ひとり「私」であることを選んで生まれてきたわけではないからだ。生まれてみたら、私だったのだ。
 演劇部では、劇の内容についてしばしば話し合いの時間をもつ。意見が違うほど話し合いの意義は深まる。子ども時代は自分一人でなんでもできるようになることを求められることが多いが、実社会では他者とどう関わり続けられるかの方が重要なスキルである。意見をすり合わせ、どこへ落とし込むか。他者と向き合い、自己に向き合う。何もかもが思い通りになるわけではないけれど、伝えあったからこそ折り合いをつけて、協力できる。そして一人では辿り着けなかった景色を見るのだ。
 バンドの楽曲と演劇は親和性が高い。どちらも協働して生まれるものだからではないかと思う。今回カーテンコールに選んだのは、この夏に活動を始めたばかりのバンドの曲だ。「下手くそな自分も全肯定して、確かにここで生きていることをただ信じて行け」と叫ぶ。
Happy Birthday。生まれたら、あなただった。あなたも、どうかあなたのまま、生きて。
 2022.12.19 演劇部顧問 木村恵美