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2024/2/2  演劇部新春公演「マイと魔女の鏡」

演劇部新春公演 「マイと魔女の鏡」の動画を公開します!

こんなに面白いのに、生徒たちの創作脚本!!「日常に疲れている」方、必見。

〈顧問雑感〉
 鏡を見る。見慣れた自分の顔が映る。朝から晩までこの顔を連れ歩く。一人の部屋でも眠っている間も、顔は外せない。ジブリアニメの「カオナシ」というキャラクターも、カオナシとしか言いようのない個性的な顔を貼り付けてたたずんでいた。
 創作劇「マイ魔女」のテーマの大きな柱はルッキズム(外見重視主義)だが、台本作成の話し合いを重ねる中で「みんなちがってみんないい、を落とし所にはしたくない」という意見にまとまった。人それぞれに魅力があるなんて、そんなことはわかっている。わかっているけど、どこか納得がいかないのだ。それは「みんなちがってみんないい」に、うっすらと偽善を感じるからだろう。ありのままを認めようという言葉は美しいが、社会の価値観からルッキズムを一掃するほどの力はない。中高生はシビアに現実を見抜いている。
 今年度の部員は、高校生を中心として演技力の高い者が多い。頭で分かったことを屈託なく体現するには、小綺麗な自分や理想の自分を手放す必要がある。役に没頭するほど無防備になり、表情は輝きを増す。そのいさぎよさのようなものに惹きつけられる。そこに美醜は驚くほど関係ない。今日の劇を見ていただいてもわかると思う。
 ルッキズムに支配される幼い心は、「あの人のように」とか「この人よりも」とか、上にも下にも比較対象を作っては一喜一憂する。どうであるかよりもどう見えているかが気になり、演技の途中でたやすく素に戻り、観客を裏切る。たった3年ほどの人生経験の差が、演劇を通すとこれほど増幅されることに驚くとともに、そんな下級生の今後の成長が楽しみでもある。
 今回の公演は、インフルエンザやコロナウィルスの感染で度重なる延期の末に、やっと今日を迎えた。見に来てくださった観客の皆様には、心から御礼を申し上げたい。
 マイは鏡の中に何を見るのか。それはマイ自身のよく知るいつもの自分ではない。揺れるマイを通して私たちも自分の心をのぞくような、優れた劇が誕生したと思う。
 帰宅して、今夜も鏡に映るのは、あなたの顔のすべてだろう。けれどそれは、あなたのすべてではないのだ。

顧問:木村

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※3月末日まで視聴可能